背理法を使って無理数であることを証明する例題

整数無理数, 背理法


無理数であることを証明する問題では, 背理法を使うのが定石です。
『有理数であると仮定したら矛盾が生じる、よって無理数である。』という証明の流れになります。

有理数は \(\dfrac{q}{p}\, (p,q\textbf{は整数}, p\neq 0)\) と表せることを利用します。

例題を2つ紹介します。

例1
\({\log}_2 3\) は無理数であることの証明

証明
\({\log}_2 3\) が有理数であると仮定する。
\(\log_2 3 >0\) であるから,
\({\log}_2 3=\dfrac{q}{p}\,(p,q\,\textbf{は正の整数})\)と表せる。
このとき,
\(2^{{\log}_2 3}=2^\frac{q}{p}\)
\(3=2^\frac{q}{p}\)
両辺をp乗すると,
\(3^p=2^q\)
左辺は奇数, 右辺は偶数となり矛盾。よって \({\log}_2 3\) は無理数である。


例2
素数 \(r\) に対して, \(\sqrt{r}\) は無理数であることの証明

証明
\(\sqrt{r}\) が有理数であると仮定する。
\(\sqrt{r} >0\) であるから,
\(\sqrt{r}=\dfrac{q}{p}\,(p,q\,\textbf{は正の整数})\) と表せる。
両辺を2乗すると,
\(r=\dfrac{q^2}{p^2}\)
\(r p^2 = q^2 \)
両辺の素因数 \(r\) の個数を比較すると, 左辺は奇数個, 右辺は偶数個であり矛盾。
よって \(\sqrt{r}\) は無理数である。


補足
\(p^2,\,q^2\)は平方数なので素因数 \(r\) を偶数個もちます。
(素因数 \(r\) をもたない場合も \(0\) 個, つまり偶数個と考えられます。)

\(rp^2\) は素因数 \(r\) を奇数個もちます。

例2から, \(\sqrt{2}\) や\(\sqrt{3}\) などが無理数であることがいえます。