自然数の正の約数の個数、総和、n乗の総和を求める公式
ある自然数 \(m\) が
\(m=p^a\cdot q^b \cdot r^c\cdots\)
と素因数分解できるとき
\(m=p^a\cdot q^b \cdot r^c\cdots\)
と素因数分解できるとき
\(m\) の正の約数の個数
\((1+a)(1+b)(1+c)\cdots\)
\(m\) の正の約数の総和
\((1+p+p^2+\cdots +p^a)(1+q+\cdots +q^b)(1+r+\cdots +r^c)\cdots\)
\(m\) の正の約数の \(n\) 乗の総和
\((1+p^n+p^{2n}+\cdots +p^{an})(1+q^n+\cdots +q^{bn})(1+r^n+\cdots +r^{cn})\cdots\)
例題
(1) \(72\) の正の約数の個数を求めよ。
(2) \(72\) の正の約数の総和を求めよ。
(3) \(72\) の正の約数すべての2乗の和を求めよ。
(4) \(72\) の正の約数すべての逆数の和を求めよ。
(2) \(72\) の正の約数の総和を求めよ。
(3) \(72\) の正の約数すべての2乗の和を求めよ。
(4) \(72\) の正の約数すべての逆数の和を求めよ。
【補足】72の正の約数は
1,2,3,4,6,8,9,12,18,24,36,72
の12個です。
解答
(1)
\(72=2^3\cdot 3^2\) と素因数分解できる。
よって、
\((1+3)\cdot(1+2)=\color{red}{12}\) 個
\(72=2^3\cdot 3^2\) と素因数分解できる。
よって、
\((1+3)\cdot(1+2)=\color{red}{12}\) 個
\(72\) の約数は\(2^a \cdot 3^b\) と書けます。
\(a\) には0から3の4通り
\(b\) には0から2の3通り
が入るので約数は\(4\cdot 3=12\) 個あります。
(2) 72の正の約数の総和
\((2^0+2^1+2^2+2^3)\cdot(3^0+3^1+3^2)\)
\(=(1+2+4+8)\cdot (1+3+9)\)
\(=15\cdot 13 = \color{red}{195}\)
\((2^0+2^1+2^2+2^3)\cdot(3^0+3^1+3^2)\)
\(=(1+2+4+8)\cdot (1+3+9)\)
\(=15\cdot 13 = \color{red}{195}\)
展開してみれば12個の約数の和になっていることが確認できます。(3)以下も同様に展開して確認可能です。
(3) 72の正の約数すべての2乗の和
\((1^2+2^2+4^2+8^2)\cdot(1^2+3^2+9^2)\)
\(=(1+4+16+64)\cdot(1+9+81)\)
\(=85\cdot 91=\color{red}{7735}\)
\((1^2+2^2+4^2+8^2)\cdot(1^2+3^2+9^2)\)
\(=(1+4+16+64)\cdot(1+9+81)\)
\(=85\cdot 91=\color{red}{7735}\)
\(1^2+2^2+3^2+4^2+6^2+\cdots +36^2+72^2\)
を計算したことになります。
(4) 72の正の約数すべての逆数の和
\((1^{-1}+2^{-1}+4^{-1}+8^{-1})\cdot(1^{-1}+3^{-1}+9^{-1})\)
\(=(1+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{4}+\dfrac{1}{8})\cdot(1+\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{9})\)
\(=\dfrac{8+4+2+1}{8}\cdot\dfrac{9+3+1}{9}\)
\(=\color{red}{\dfrac{65}{24}}\)
\((1^{-1}+2^{-1}+4^{-1}+8^{-1})\cdot(1^{-1}+3^{-1}+9^{-1})\)
\(=(1+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{4}+\dfrac{1}{8})\cdot(1+\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{9})\)
\(=\dfrac{8+4+2+1}{8}\cdot\dfrac{9+3+1}{9}\)
\(=\color{red}{\dfrac{65}{24}}\)
逆数はマイナス1乗です。
\(1+\dfrac{1}{2}+\cdots +\dfrac{1}{36}+\dfrac{1}{72}\)
を計算したことになります。