定積分で表された関数で使う公式と例題

積分


定積分で表された関数の問題でよく使う3つの基本的な公式を紹介します。

公式

(1) \(\quad\displaystyle\int_{a}^{a} f(t)\,dt = 0 \)

(2) \(\quad\dfrac{d}{dx}\displaystyle\int_{a}^{b}f(t)\,dt = 0\)

(3) \(\quad\dfrac{d}{dx}\displaystyle\int_{a}^{x}f(t)\,dt= f(x)\)

(ただし, \(a,b\) は定数とする)

公式の導出

\(f(x)\) の不定積分の1つを \(F(x)\) とおいて公式を導出していきます。

(1)
\(\displaystyle\int_{a}^{a} f(t)\,dt\)
\(=\Bigl[F(t)\Bigr]_{a}^{a}=F(a)-F(a)=\color{red}{0}\)

上端と下端が同じとき, 定積分は 0 になります。


(2)
\(\dfrac{d}{dx}\displaystyle\int_{a}^{b}f(t)\,dt\)

\(=\dfrac{d}{dx}\Bigl(F(b)-F(a)\Bigl)=\color{red}{0}\)

上端と下端が定数のとき, \(\displaystyle\int_{a}^{b}f(t)\,dt\) は定数です。
定数を微分すれば 0 になります。


(3)
\(\dfrac{d}{dx}\displaystyle\int_{a}^{x}f(t)\,dt\)

\(=\dfrac{d}{dx}\Bigl(F(x)-F(a)\Bigl)\)

\(=\color{red}{f(x)}\)

(3) 補足: 変数 \(x\) が下端にあるとき
\(\quad\dfrac{d}{dx}\displaystyle\int_{x}^{a}f(t)\,dt\)

\(=\dfrac{d}{dx}\Bigl(F(a)-F(x)\Bigl)\)

\(=\color{red}{-f(x)}\)

例題

定積分で表された式から未知関数を決定する問題です。

問題

\(\displaystyle \int^{x}_{1}f(t)\,dt =x^2 + cx\)
をみたす定数 \(c\) と関数 \(f(x)\) を求めよ。

方針
・\(x=1\) を代入すると \(\int_1^1\) の形になる →公式(1)が使える
・両辺を \(x\) で微分する →公式(3)が使える
解答

与式に \(x=1\) を代入すると,
左辺: \(\displaystyle\int_{1}^{1}f(t)\,dt=0\)

右辺: \(1+c\)
より, \(\color{red}{c=-1}\)
また, 与式を \(x\) で微分すると,
左辺: \(\dfrac{d}{dx}\displaystyle\int_{1}^{x}f(t)\,dt=f(x)\)

右辺: \(\dfrac{d}{dx}(x^2+cx)=2x+c\)
したがって,
\(f(x)=2x+c=\color{red}{2x-1}\)