割り切れることを示す問題

整数


ある数で割り切れることを示す一般的な方法を紹介します。
例として、6で割り切れることを示す問題と30で割り切れることを示す問題を解説します。

問題

\(n\) を \(2\) 以上の整数とする。
(1) \(n^3 -n\) が \(6\) で割り切れることを示せ。
(2) \(n^5 -n\) が \(30\) で割り切れることを示せ。

方針

・ \(n\) が \(m\) で割り切れるということは, \(n\) は \(m\) の倍数であるということです。

・ \(a\) と \(b\) が互いに素であるとします。このとき、ある数 \(n\) が \(a\) の倍数かつ \(b\) の倍数ならば, \(n\) は \(ab\) の倍数になります。

例えば, \(n\) が2の倍数かつ3の倍数ならば, \(2\cdot 3=6\) の倍数です。
一方, \(n\) が2の倍数かつ4の倍数であっても, \(2\cdot 4=8\) の倍数であるとは限りません。(12は2の倍数かつ4の倍数だが8の倍数でない)

・6の倍数であることを示すには、2の倍数かつ3の倍数であることを示せばよいです。
・30の倍数であることを示すには、2の倍数かつ3の倍数かつ5の倍数であることを示せばよいです。


解答

(1)
\(\phantom{=}n^3-n\)
\(=n(n^2-1)\)
\(=(n-1)n(n+1)\)

これは連続する3つの整数の積であり, 2の倍数と3の倍数が含まれる。
よって, \(n^3-n\) は \(6\) で割り切れる。


(2)
\(\phantom{=}n^5-n\)
\(=n(n^4-1)\)
\(=n(n^2-1)(n^2+1)\)
\(=(n-1)n(n+1)(n^2+1)\)

連続する3つの整数の積が含まれているため, 6の倍数である。
後は, \(n-1,\,n,\,n+1,\,n^2+1\) のいずれかが5の倍数であることを示せばよい。

\(n=5k,\,5k\pm 1,\,5k\pm 2\) (\(k\) は整数) のいずれかである。

\(n=5k\) のとき, \(n\) は5の倍数である。
\(n=5k\pm1\) のとき, \(n\mp 1\) は5の倍数である。
\(n=5k\pm2\) のとき,
\(n^2+1\)
\(=25k^2\pm 20k +5\)
\(=5(5k^2\pm 4k +1)\) は5の倍数である。

よって, \(n^5 -n\) は5の倍数かつ6の倍数であり, 30で割り切れる。