3次関数の極値の差を求める方法

微分


3次関数の極値の差を求める問題の解き方を紹介します。
・積分を利用する方法
・次数を下げて極値を求める方法
の2パターンを説明しています。

問題

\(f(x)=2x^3+3x^2-6x\) の極大値と極小値の差を求めよ。

解答1:積分を利用する方法

\(f'(x)=6x^2+6x-6\\
\phantom{f'(x)}=6(x^2+x-1)\)
\(f'(x)=0\) の解を \(\alpha,\,\beta\,\,(\alpha < \beta)\) とすると

\(\alpha=\dfrac{-1-\sqrt{5}}{2},\,\beta=\dfrac{-1+\sqrt{5}}{2}\)

また, \(f'(x)=6(x-\alpha)\,(x-\beta)\)

\(f(x)\) は \(x^3\) の係数が正であるから, \(x=\alpha\) で極大値, \(x=\beta\) で極小値をとる。
よって極大値と極小値の差は
\(\displaystyle f(\alpha)-f(\beta)=\int_\beta^{\alpha}f'(x)\,dx\\
=\displaystyle \int_{\beta}^{\alpha}6(x-\alpha)(x-\beta)\,dx\\
=6\cdot \big( -\dfrac{1}{6}\big)(\alpha -\beta)^3\quad(1/6公式より)\\
=-\big(\dfrac{-1-\sqrt{5}}{2}-\dfrac{-1+\sqrt{5}}{2}\big)^3 \\
=-(-\sqrt{5})^3=\color{red}{5\sqrt{5}}\)

1/6公式については【積分】1/6公式と1/12公式の証明をご覧ください。

この問題のように,ある関数 \(f(x)\) の2点 \(\alpha,\,\beta\) の差 \(f(\alpha)-f(\beta)\) についての問題では

\(f(\alpha)-f(\beta)=\displaystyle \int_\beta^\alpha f'(x)\,dx\)

と変形するとうまくいくことがあります。

解答2:次数を下げて極値を求める方法

\(f(\alpha),f(\beta)\) を実際に求めてから差を求めます。

\(f(x)\) を \(f'(x)\) で割って次数を下げると計算が楽になります。
この手法は3次関数の極大値・極小値を次数を下げて求める問題 でも扱っています。

解答
\(f(x)\) を \(f'(x)\) で割った商は \(\dfrac{x}{3}+\dfrac{1}{6},\) 余りは \(-5x+1\) だから
\(f(x)=f'(x)\big(\dfrac{x}{3}+\dfrac{1}{6}\big) +(-5x+1)\)

\(f'(x)=0\) の解を \(\alpha,\,\beta\,(\alpha < \beta)\) とすると
\(f'(\alpha)=0,\,f'(\beta)=0\) だから
\(f(\alpha)=\underbrace{f'(\alpha)}_{=0}\big(\dfrac{\alpha}{3}+\dfrac{1}{6}\big) +(-5\alpha + 1)\\
\phantom{f(x)}=-5\alpha +1\)
同様に, \(f(\beta)=-5\beta+1\)

\(\alpha,\beta\) は \(f'(x)=6x^2+6x-6=0\) の解だから
\(\alpha=\dfrac{-1-\sqrt{5}}{2},\,\beta=\dfrac{-1+\sqrt{5}}{2}\)

よって極大値と極小値の差は
\(f(\alpha)-f(\beta)\\
=(-5\alpha +1)-(-5\beta +1)\\
=-5(\alpha -\beta)\\
=-5\big(\dfrac{-1-\sqrt{5}}{2}-\dfrac{-1+\sqrt{5}}{2}\big)\\
=\color{red}{5\sqrt{5}}\)

【補足】
解答2の方法は極値の和や積を求めるときにも使えます。
また, 解と係数の関係も利用できます。
解と係数の関係
\(f'(x)=6x^2+6x-6=0\) の解を\(\alpha,\,\beta\) とすると,解と係数の関係により
\(\alpha+\beta=-1,\,\alpha\beta=-1\)

極値の和
\(f(\alpha)+f(\beta)\\
=(-5\alpha +1)+(-5\beta +1)\\
=-5(\alpha +\beta)+2=\color{red}{7}\)
極値の積
\(f(\alpha)f(\beta)\\
=(-5\alpha+1)(-5\beta +1)\\
=25\alpha\beta-5(\alpha+\beta)+1\\
=\color{red}{-19}
\)