自然数のべき乗の和の公式を数学的帰納法で証明

数列数学的帰納法


自然数のべき乗の和の公式

\(\displaystyle \sum_{k=1}^n\,k^{\,\,}=\dfrac{1}{2}n(n+1)\)

\(\displaystyle \sum_{k=1}^n\,k^2=\dfrac{1}{6}n(n+1)(2n+1)\)

\(\displaystyle \sum_{k=1}^n\,k^3=\left\{ \dfrac{1}{2}n(n+1) \right\}^2\)

必ず覚えておくべき公式ですが, これらの公式の証明は数学的帰納法の良い練習になります。

証明

\(1+2+3+\cdots +n=\dfrac{1}{2}n(n+1)\quad\cdots\cdots(1)\) の証明
[1] \(n=1\) のとき
\((1)\mathbf{の左辺}=1\)
\((1)\mathbf{の右辺}=\dfrac{1}{2}\cdot 1 \cdot 2=1\)
ゆえに, (1)は成り立つ。
[2] \(n=k\) のとき(1)が成り立つと仮定すると,
\(1+2+3+\cdots+k=\dfrac{1}{2}k(k+1)\)
上式の両辺に \(k+1\) を加えると,
\((\mathbf{左辺})\)
\(=1+2+3+\cdots +k+(k+1)\)

\((\mathbf{右辺})\\
=\dfrac{1}{2}k(k+1)+(k+1)\\
=\dfrac{1}{2}(k+1)(k+2)\\
=\dfrac{1}{2}(k+1)\{(k+1)+1\}\)

よって, \(n=k+1\) のときも(1)は成り立つ。
[1],[2] から, すべての自然数 \(n\) について(1)は成り立つ。(終)


\(1^2+2^2+3^2+\cdots +n^2=\dfrac{1}{6}n(n+1)(2n+1)\quad\cdots\cdots(2)\) の証明
[1] \(n=1\) のとき
\((2)\mathbf{の左辺}=1\)
\((2)\mathbf{の右辺}=\dfrac{1}{6}\cdot 1 \cdot 2 \cdot 3 =1\)
ゆえに, (2)は成り立つ。
[2] \(n=k\) のとき(2)が成り立つと仮定すると,
\(1^2+2^2+3^2+\cdots +k^2=\dfrac{1}{6}k(k+1)(2k+1)\)
上式の両辺に \((k+1)^2\) を加えると,
\((\mathbf{左辺})\)
\(=1^2+2^2+3^2+\cdots +k^2+(k+1)^2\)

\((\mathbf{右辺})\)
\(=\dfrac{1}{6}k(k+1)(2k+1)+(k+1)^2
\\=(k+1)\left\{\dfrac{1}{6}k(2k+1)+(k+1)\right\}
\\=(k+1)\dfrac{1}{6}(2k^2+k+6k+6)
\\=\dfrac{1}{6}(k+1)(2k^2+7k+6)
\\=\dfrac{1}{6}(k+1)(k+2)(2k+3)
\\=\dfrac{1}{6}(k+1)(k+2)\{2(k+1)+1\}\)

よって, \(n=k+1\) のときも(2)は成り立つ。
[1],[2] から, すべての自然数 \(n\) について(2)は成り立つ。(終)


\(1^3+2^3+3^3+\cdots +n^3=\left\{\dfrac{1}{2}n(n+1)\right\}^2\quad\cdots\cdots(3)\) の証明
[1] \(n=1\) のとき
\((3)\mathbf{の左辺}=1\)
\((3)\mathbf{の右辺}=\left\{\dfrac{1}{2}\cdot 1\cdot 2\right\}^2=1\)
ゆえに,(3)は成り立つ。
[2] \(n=k\) のとき(3)が成り立つと仮定すると,
\(1^3+2^3+3^3+\cdots +k^3=\left\{\dfrac{1}{2}k(k+1)\right\}^2\)
上式の両辺に \((k+1)^3\) を加えると,
\((\mathbf{左辺})\)
\(=1^3+2^3+3^3+\cdots +k^3+(k+1)^3\)

\((\mathbf{右辺})
\\=\left\{\dfrac{1}{2}k(k+1)\right\}^2+(k+1)^3
\\=(k+1)^2\left(\dfrac{k^2}{4}+k+1\right)
\\=\dfrac{1}{4}(k+1)^2(k^2+4k+4)
\\=\dfrac{1}{4}(k+1)^2(k+2)^2
\\=\left\{ \dfrac{1}{2}(k+1)(k+2)\right\}^2\)

よって, \(n=k+1\) のときも(3)は成り立つ。
[1],[2] から, すべての自然数 \(n\) について(3)は成り立つ。(終)