三角関数の対称性を利用する積分
問題
方針
\( x=\frac{\pi}{2}-t\) と置換する
解答
\({\cos}\,x={\cos}\,(\dfrac{\pi}{2}-t)={\sin}\,t\\
\sin\,x=\sin\,(\dfrac{\pi}{2}-t)=\cos\,t\)
\(t:\dfrac{\pi}{2}\rightarrow 0,\) \(dx=-dt\) より,
\(\displaystyle I=\int^0_{\frac{\pi}{2}}\dfrac{{\sin}^5 t}{{\cos}^5 t+{\sin}^5 t}\,(-dt) \\
\displaystyle =\int_0^{\frac{\pi}{2}}\dfrac{{\sin}^5 t}{{\cos}^5 t+{\sin}^5 t}dt\)
積分変数は自由に書き換えていいので, \(t\)を\(x\)と書き換えると,
\(\displaystyle I=\int_0^{\frac{\pi}{2}} \dfrac{{\sin}^5x}{{\cos}^5x+{\sin}^5 x}\,dx\)
よって,
\(2I \\
=I+I \\
=\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}} \dfrac{{\cos}^5x+{\sin}^5x}{{\cos}^5x+{\sin}^5 x}\,dx \\
=\displaystyle \int_0^{\frac{\pi}{2}}dx=\dfrac{\pi}{2}\)
従って, \(I=\color{red}{\dfrac{\pi}{4}}\) (答)
補足
・ノーヒントで解法を思いつくのは難しいので、大抵は何かしらの誘導がついて出題されます。
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・\(x=\frac{\pi}{2}-t\) と置換すると \(\cos x\) は\(\sin t\) になり, \(\sin x\) は\(\cos t\) になります。
\(2I=I+I\) として, \(I\) の片方を置換すれば \(2I\) は \(\sin\) と \(\cos\) の対称式になります。
・実は、5乗じゃなくても何乗でも答えは\(\dfrac{\pi}{4}\)になります。解法は上記と同様です。 2乗の場合は上記の解法を使わなくても楽に計算できるので以下の類題で確認してみましょう。
類題
\(\displaystyle J=\int_0^{\frac{\pi}{2}}
\dfrac{{\sin}^2x}{{\sin}^2x+{\cos}^2 x}\,dx\) を求めよ。
解答
\(\displaystyle J=\int_0^{\frac{\pi}{2}} {\sin}^2 x\,dx \\
\displaystyle =\frac{1}{2}\displaystyle \int_0^{\frac{\pi}{2}}(1-\cos\,2x)\,dx \\
\displaystyle =\frac{1}{2}\left[x-\dfrac{1}{2}\sin\,2x\right]_0^{\frac{\pi}{2}}\\
=\color{red}{\dfrac{\pi}{4}}\)