整数変数の関数の最大値を求める方法

関数・方程式と不等式


整数を変数に持つ関数は,確率の計算問題などで登場します。(n回目に〇〇する確率をf(n)とおくと何回目に最も確率が大きくなるか,等)

このような関数の最大値・最小値を求めるときに、微分を使うことはあまりないです。
f(n)とf(n±1)の差や分数で考えるのが定石です。

問題

\(f(n)=(n-1)(n-2)\left(\dfrac{4}{5}\right)^n\) が最大となる \(n\) を求めよ。 (\(n\) は \(3\) 以上の自然数)

方針
整数を変数に持つ関数の最大値,最小値を求めるには,

方法1: \(f(n+1)-f(n)\)の正負を調べる
方法2: \(\dfrac{f(n+1)}{f(n)}\) と 1 の大小関係を調べる

まず、方法1での解答です。

解答1

\(f(n+1)-f(n)\)

\(=n(n-1)\left(\dfrac{4}{5}\right)^{n+1}\,-\,(n-1)(n-2)\left(\dfrac{4}{5}\right)^{n}\)

\(=\left(\dfrac{4}{5}\right)^{n}(n-1) \left\{ \dfrac{4}{5}n-(n-2)\right\} \)

\(=\left(\dfrac{4}{5}\right)^{n}(n-1)\left( 2-\dfrac{1}{5}n \right)\)

\(n\geqq 3\) のとき \(\left(\dfrac{4}{5}\right)^{n}\geqq 0,\,n-1 \geqq 0\)だから

\(f(n+1)-f(n)\) の符号は \(2-\dfrac{1}{5}n\) の正負で決まる。

(i) \(2-\dfrac{1}{5}n>0\) つまり \(n < 10\) のとき

\(f(n+1) >f(n)\)

(ii) \(2-\dfrac{1}{5}n=0\) つまり \(n = 10\) のとき

\(f(n+1) = f(n)\)

(iii) \(2-\dfrac{1}{5}n<0\) つまり \(n > 10\) のとき

\(f(n+1) <f(n)\)

よって,
\(f(3)<f(4)<\cdots <f(10)=f(11)>f(12)>f(13)>\cdots\)

したがって \(n=10,11\)のとき, \(f(n)\) が最大になる。 (答)

次に,方法2での解答です。

解答2

\(n\geqq 3\)のとき,

\(\dfrac{f(n+1)}{f(n)}=\dfrac{n(n-1)\left(\dfrac{4}{5}\right)^{n+1}}{(n-1)(n-2)\left(\dfrac{4}{5}\right)^{n}}=\dfrac{4n}{5(n-2)}\)

(i) \(\dfrac{4n}{5(n-2)}>1\) となるのは \(n<10\) のとき

(ii) \(\dfrac{4n}{5(n-2)}=1\) となるのは \(n=10\) のとき

(ii) \(\dfrac{4n}{5(n-2)}<1\) となるのは \(n>10\) のとき

よって, \(f(3)<f(4)<\cdots <f(10)=f(11)>f(12)>f(13)>\cdots\)

したがって \(n=10,11\)のとき, \(f(n)\) が最大になる。 (答)