相加平均・相乗平均の関係:例題

関数・方程式と不等式


相加平均・相乗平均の関係を使って解く問題です。問題を通して相加平均・相乗平均の関係を使うときに注意すべきポイントを説明します。

公式と証明方法は別ページで紹介しています。
相加平均・相乗平均の関係:証明


問題1

\(a+\dfrac{1}{a}\,(a>0)\) の最小値を求めよ。

解答

\(a+\dfrac{1}{a} \geqq 2\sqrt{a\cdot \dfrac{1}{a}}=2\)

\(a=\dfrac{1}{a} \Leftrightarrow a=1\) のとき等号成立
したがって, 最小値は \(2\)

注意点1

相加平均・相乗平均の関係は正の数について成り立つ関係です。
もし \(a\) が負の値をとることがあれば, 相加平均・相乗平均の関係は使えません。

注意点2

不等式 \(a+\dfrac{1}{a} \geqq 2\) を導いただけでは, 最小値が2であるとは言い切れません。
実際に \(a+\dfrac{1}{a}=2\) となる \(a\) の値があることを示して, 最小値が2であると主張できます。つまり, 等号成立条件の確認は必須です。



問題2

\(a+b=1,\,a>0,\,b>0\) のとき
\((a+\dfrac{1}{a})+(b+\dfrac{1}{b})\) の最小値を求めよ。

解答

\((a+\dfrac{1}{a})+(b+\dfrac{1}{b})\)
\(=a+b+\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}\)
\(\geqq 1 + 2\sqrt{\dfrac{1}{ab}}\)
\(\geqq 1 + 2\dfrac{2}{a+b}\)
\(= 1+4 =5\)
\(a=b=\dfrac{1}{2}\) のとき等号成立
したがって, 最小値は \(5\)

補足

最初に, \(\dfrac{1}{a}\) と \(\dfrac{1}{b}\) について相加平均・相乗平均の関係を使いました。

次に, \(a\) と \(b\) についての相加平均・相乗平均の関係
\(\dfrac{a+b}{2} \geqq \sqrt{ab}\) の逆数をとり

\(\dfrac{2}{a+b} \leqq \dfrac{1}{\sqrt{ab}}\) となることを使いました。

注意

\(a+\dfrac{1}{a} \geqq 2\) , \(b+\dfrac{1}{b} \geqq 2\) より最小値 4 としてはいけません。
この場合, 等号成立条件は \(a=1\) かつ \(b=1\) となり, \(a+b=1\) の条件に反します。



問題3

\(\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{3y}=1 ,\,x > 0 ,y > 0 \) のとき
\(x+12y\) の最小値を求めよ。

解答

\(x+12y\)
\(=(x+12y)\cdot (\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{3y})\)
\(=1+\dfrac{x}{3y}+\dfrac{12y}{x}+4\)
\(=5+\dfrac{1}{3y}+\dfrac{12y}{x}\)
\( \geqq 5+2\sqrt{\dfrac{x}{3y}\cdot\dfrac{12y}{x}} \)
\(=5+4=9\)
等号成立条件 \(\dfrac{x}{3y}=\dfrac{12y}{x}\)
と \(\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{3y}=1\) から,
\((x,y)=(3,\dfrac{1}{2})\) のとき,最小値\(9\)