共役複素数と方程式の実数解・虚数解

関数・方程式と不等式複素数


実数係数のn次方程式が複素数を解にもつとき,その共役複素数も解になります。

方程式の複素数解

実数係数のn次方程式が複素数 \(z\) を解にもつとき, その共役複素数 \(\bar{z}\)も方程式の解である。

本記事では
・この性質の証明方法
・この性質から方程式の実数解・虚数解の個数が特定できること
・一つの解が与えられたときに, 他の解の特定や予想ができること
を例題を交えて説明します。

以下、特にことわらない限り実数係数の方程式を考えます。

証明

実数係数のn次方程式
\(f(x)=a_n x^n +a_{n-1} x^{n-1}+\cdots +a_1 x + a_0=0\)
が \(x=z\) を解に持つとき
\(f(z)=0\)
両辺の共役複素数をとると
\(\overline{f(z)}=\bar{0}\)
ここで、
\(\color{blue}{\overline{f(z)}=f(\bar{z})},\,\,\bar{0}=0\) より
\(f(\bar{z})=0\)
よって、\(\bar{z}\) も \(f(x)=0\) の解である。


補足

\(\color{blue}{\overline{f(z)}=f(\bar{z})}\) を示すためには
共役複素数の四則演算の公式
\(\overline{z_1+z_2}=\overline{z_1}+\overline{z_2}\)
\(\overline{z_1 z_2}=\overline{z_1}\cdot\overline{z_2}\)
を使います。

例)2次関数の場合
\(\overline{f(z)}\)
\(=\overline{az^2+bz+c}\)
\(=\overline{az^2}+\overline{bz}+\overline{c}\)
\(=a{\overline{z}}^2+b\overline{z}+c\,\) (\(\because a,b,c\) は実数)
\(=f(\overline{z})\)

実数解・虚数解の個数を特定

n次方程式はn個の解をもつ(代数学の基本定理)
n次方程式が虚数解をもつなら共役複素数も解だから、虚数解は必ず偶数個
これらから, 実数係数の方程式が実数解・虚数解をそれぞれ何個持つかが分かります。

例)
2次方程式
実数解2個と虚数解0個 または
実数解0個と虚数解2個 をもつ

3次方程式
実数解3個と虚数解0個 または
実数解1個と虚数解2個 をもつ

4次方程式
実数解4個と虚数解0個 または
実数解2個と虚数解2個 または
実数解0個と虚数解4個 をもつ

この性質は計算ミス防止にも役立ちます。
たとえば, 3次方程式を解いて虚数解が3個出てきたら計算ミスだと気づけます。

例題:ひとつの解から他の解を特定

問題

\(x^3+3x^2+ax+b=0\) (\(a,b\) は実数)の解のひとつが\(x=-1+2i\) であるとする。
他の解をすべて求めよ。

解答

実数係数の3次方程式だから, \(-1+2i\) が解ならば \(-1-2i\) も解である。
もうひとつの解を \(t\) とおくと, 解と係数の関係より,
\(-1+2i+(-1-2i)+t=-3\)
\(\therefore t=-1\)
したがって, 他の解は \(\color{red}{-1-2i,\,-1}\)

補足)解と係数の関係より,さらに\(a=7,b=5\) も求まります。

例題:解の絶対値を求める

問題

\(x^2+x+1=0\)
の解のひとつを \(z\) とおく。\(|z|\) を求めよ。

虚数解なら2解は互いに共役です。
解と係数の関係を使えば2解の積が求まります。
解答

判別式
\(1-4 < 0\) より虚数解をもつ。
2解は\(z\) と \(\bar{z}\) である。
解と係数の関係より
\(z\bar{z}=|z|^2 =1\)
\(|z| \geqq 0\) より
\(\color{red}{|z|=1}\)