整数問題の3つの解法パターン
整数問題でよく使う3つの解法パターン(因数分解, 余りによる分類 , 不等式で範囲を絞る)を問題形式で紹介します。
因数分解
問題
\(a^2-b^2=24\) を満たす自然数の解 \((a,b)\) をすべて求めよ。
方針
因数分解して (整数)×(整数)=(整数) の形にします。
解答
\((a+b)(a-b)=24\)
\(a,b\) は自然数なので
\(a+b >0\) である。
よって \(a-b >0\)
また \(a+b >a-b\) より
\((a+b,a-b)\)
\(=(24,1),(12,2),(8,3),(6,4)\)
このうち \(a,b\) がともに自然数になるのは
\((a+b,a-b)=(12,2),(6,4)\) のときである。
よって \(\color{red}{(a,b)=(7,5),\,(5,1)}\)
\(a,b\) は自然数なので
\(a+b >0\) である。
よって \(a-b >0\)
また \(a+b >a-b\) より
\((a+b,a-b)\)
\(=(24,1),(12,2),(8,3),(6,4)\)
このうち \(a,b\) がともに自然数になるのは
\((a+b,a-b)=(12,2),(6,4)\) のときである。
よって \(\color{red}{(a,b)=(7,5),\,(5,1)}\)
余りによる分類・合同式
問題
\(n\) を整数とする。
\(n^2(n^2+8)\) が \(3\) の倍数であることを示せ。
\(n^2(n^2+8)\) が \(3\) の倍数であることを示せ。
方針
3で割った余りで場合分けをして考えます。
解答
整数は \(3k,3k\pm1\) (\(k\) は整数)
のいずれかの形で書ける。 [1] \(n=3k\) のとき
\(n^2(n^2+8)\)
\(=9k^2(9k^2+8)\)
\(=3\{3k^2(9k^2+8)\}\) [2] \(n=3k\pm1\) のとき
\(n^2(n^2+8)\)
\(=(9k^2\pm 9k+1)(9k^2\pm 9k+9)\)
\(=3(9k^2\pm9k+1)(3k^2\pm 3k+3)\)
\( n^2+8 \equiv 9 \equiv 0 (\rm{mod}\,3)\) より
\(n^2(n^2+8)\equiv 0 (\rm{mod}\,3)\)
のいずれかの形で書ける。 [1] \(n=3k\) のとき
\(n^2(n^2+8)\)
\(=9k^2(9k^2+8)\)
\(=3\{3k^2(9k^2+8)\}\) [2] \(n=3k\pm1\) のとき
\(n^2(n^2+8)\)
\(=(9k^2\pm 9k+1)(9k^2\pm 9k+9)\)
\(=3(9k^2\pm9k+1)(3k^2\pm 3k+3)\)
以上から, 任意の整数 \(n\) に対し
\(n^2(n^2+8)\) は \(3\) の倍数である。
合同式を使うと次のようになります。
別解
[1] \(n\equiv 0 (\rm{mod}\,3)\) のとき
\(n^2(n^2+8)\equiv 0 (\rm{mod}\,3)\)
\( n^2+8 \equiv 9 \equiv 0 (\rm{mod}\,3)\) より
\(n^2(n^2+8)\equiv 0 (\rm{mod}\,3)\)
以上から, 任意の整数 \(n\) に対して
\(n^2(n^2+8)\) は \(3\) の倍数である。
関連:余りによる分類の使用例
平方数を整数で割った余り
不等式で範囲を絞る
問題
\(\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}+\dfrac{1}{c}=1,\,\,a<b<c \)
を満たす自然数 \(a,b,c\) を求めよ。
を満たす自然数 \(a,b,c\) を求めよ。
方針
文字を統一して,その文字について範囲を絞り込む
解答
\(a < b < c \) より
\(\dfrac{1}{c} < \dfrac{1}{b} < \dfrac{1}{a}\) となり
\(1=\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}+\dfrac{1}{c} < \dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{a}= \dfrac{3}{a}\)
よって \(a<3\)
\(\therefore a=1\) または \(a=2\)
\(\dfrac{1}{c} < \dfrac{1}{b} < \dfrac{1}{a}\) となり
\(1=\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}+\dfrac{1}{c} < \dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{a}= \dfrac{3}{a}\)
よって \(a<3\)
\(\therefore a=1\) または \(a=2\)
\(a=1\) のとき \(\dfrac{1}{b}+\dfrac{1}{c}=0\)
これを満たす自然数 \(b,c\) は存在しない。
\(a=2\) のとき \(\dfrac{1}{b}+\dfrac{1}{c}=\dfrac{1}{2}\)
\(\dfrac{1}{2}=\dfrac{1}{b}+\dfrac{1}{c} <\dfrac{1}{b}+\dfrac{1}{b}=\dfrac{2}{b}\)
よって\(b<4\)
\( a < b < 4\) より \(b=3\)
\(a=2,\,b=3\) のとき, \(c=6\)
以上から
\(\color{red}{(a,b,c)=(2,3,6)}\)
関連:不等式で範囲を絞るタイプの問題
x+y+z=xyz の自然数解
分数式の整数解